佐野 一機 (31)
目黒ショップ 勤続5年目
目黒ショップ店長/責任者
小学生の頃からアメ車が大好きだったんです。別に両親は車に興味なかったんですけど。きっかけとか全く分からないんですけど大きくなったら免許取って絶対にアメ車に乗るって憧れだけじゃなくて具体的に決めてました。小さいなりに「アメ車は壊れやすい」って聞いていて乗るなら自分で直せないといけない。じゃあ自動車整備士になるしかないってことで仕事も決めてました。一切迷いはなかったですね。脇目も振らずに一直線で自動車整備士を目指しました。
やがて免許を取り、自動車整備士になり、仕事もアメ車のカスタムショップに勤めました。キャデラックを手に入れて、毎週みなとみらいや横浜の街を流してました。子供の頃の夢、かなえました。
店の方向性を決めるのが店長です。特に力を注いでいるのは、新しい製品の紹介です。紹介と言っても広告したり宣伝するってことだけではありません。うちはほとんどがカスタム希望のお客さんですが、実はみなさん商品のことを知っているようで知らないことが多いんです。メーカーのサイトで数値や仕様は分かりますが、実際の使用感というかインプレッション(印象)というかフィーリングの部分の情報は分かりません。そういう生きた情報をお客さんに提供しています。本当によいものだけを提供したいですし、流行とか、選び方だとか、どうしたらいいのかを案内するのが、自分にとってのショップの役割=店長の仕事だと思っています。
うちはお客さんにとっても、社員にとっても「自由がきくショップ」です。社員が「こういうのをやってみたい!」と思ったら、たとえ店長でなくてもそれが社風に合っていてアクセスらしければチャレンジできます。つい最近も元レーサーのスタッフがレーシングチームを立ち上げました。業界にとって全く新しいプランでもどんどんチャレンジし実現できる環境がアクセスにはあります。だからやらされている感はまったくありません。やりたい事を仕事としてやっているのですから当然楽しいですし、面白いです。もちろんやらせてもらっている以上は必死です。必ずやり遂げようと全力でやります。トップダウンではなく、自分で考え自分でかなえていく。自分は目黒ショップの店長であり責任者。この店のすべて任せてもらえるって、そりゃ大変です。大変ですけど、大変だからすごく楽しいです。
アクセス目黒ショップはBMWをメインとしたカーカスタム専門店です。専門店ってとても興味はあるけど「入りにくい」って感じているお客さんって多いんです。実際にお客さんから「あの店は入りにくい」って声を聞きます。そんな専門店特有の敷居の高い感じなんてアクセスには必要ないんじゃないかなって。だってお互いにクルマ好きなんですから。それよりも気軽に入れて気軽に相談できる感じを大切にして「アクセスなら」「アクセスだからやれってくれる」とお客さんに言われたい。多くの専門店ではフロントにいるスタッフが接客対応していますが、アクセスではピットにいるメカニックも含め、全員接客が基本です。
ショップ全体でひとりのお客さんを受け入れるというのを徹底し実現しています。というと、なんだか凄い接客を想像するかもしれませんが、例えば、お客さんをスタッフ全員で出迎え全員で送り出す。直接関わらなくても挨拶をする。誘導に必ず立つ。そういった当たり前のことを徹底しているだけです。でも、そんな当たり前のことが結構できていなかったりする。だから気をつける。何故かっていうと「自分がその方が気持ちいいから」です。その方がフレンドリーに感じるからです。
クルマ好きは当然。でも教科書やテキスト通りにしかできない人は正直厳しいです。例えば調子が悪くて持ち込まれたクルマをチェックしマニュアルに書いてあるのでこのユニットは全取り替えで10万円です、じゃあダメなんです。もしかするとケーブル1本1,000円を取り替えてあげるだけで直るかも知れない。お客さんのことを考えて頭をやわらくして臨機応変に対応できる力。自分で考えてアイディアを出せないと自動車整備士って厳しいと思います。そのためには基本が大事です。基本がずれているとダメです。基本さえしっかり身についていれば自分でやりやすい方法を考えていけばいい。それが巧くいくとものすごく楽しいです。自分なりをあみ出していけるのです。同じ作業でも驚くほど早かったり上手に仕上げる人は必ず自分なりの方法を持っているものです。ただ順番を変えたりやりかたを少し変えているだけなのかも知れませんが結果が大きく変わってきます。それがメカニックとして面白いと感じる瞬間だと思います。
お客さんを大切にする、これだけは誰にも負けません。自分を信頼して頼ってくれるお客さんに対して誠心誠意、気を抜かず、手を抜かず、絶対に妥協はしません。たとえ難しいオーダーだとしてもまずは一回飲み込みます。一瞬無茶ぶりな内容だなと思っても一度飲み込んで、冷静になって考えます。そして自分の中に入れてから物理的に無理だと判断した場合は、理由を説明してスパッとお断りをします。曖昧にしたりはしません。失礼ですから。でも難しくても頭の中でイメージできた場合は「やりましょう!」とお受けします。イメージできるということは実現できること。アクセスのメカニックの力量も計算の上で、です。頑張らなくちゃできないことも承知の上でお返事します。でも大抵はいきなり断ったりはしません。お客さんを大切にする、ということはお客さんの夢を理解しそれを実現する、カスタムという形にすることです。お客さんが自分に任せてくれるのです。頑張ってできることであれば、頑張ればいいのです。大変だとしても。
最新情報や詳細情報などの「知識」は勉強すれば誰でも手に入れることができます。これは最低条件です。そして手に入れた情報や知識をいかにオリジナリティを持ってお客さんに提供できるか、です。情報や知識をどう活かすのか。お客さんのニーズにどう合わせて提供できるか。全部同じではとても通用しません。例えば仕上がったクルマを引き渡す場合でも、今すぐ乗りたいお客さんもいますし、メカニックとカスタム内容をとことん話したいお客さんもいます。目の前のお客さんは何を求めているかを感じ取りどう対応するか。しかしどちらにしても基本的な情報や知識は必要です。情報や知識を持っていればどちらにでも対応できる。どんなニーズにも対応できる。そして相手の気持ち、お客さんの思いを感じ取れるセンスが必要です。当然、お客さんがどんな人なのかを知る必要があります。ですからコミュニケーションも、単なる客と店員ではなく、本音も話せる関係作りも大切です。お客さんのニーズを見極め、最適なサービスを提供できるのがプロフェッショナルだと考えます。
自分は自信があります。でなければ接客していませんし、してはいけないと思っています。考えてみてください。「プロかな?」と思っている相手に代金を支払いたいですか?自信を持って「プロです!」という相手に任せたいじゃないですか。だから色々な知識と様々な情報を常に更新し、自分がいつでもプロと自信を持って言えるようにしています。単に技術を持っているだけでは一方的になってしまいます。自分は自分を信頼し頼ってくれるお客さんのことを考え抜いて一番の選択肢を常に用意できるようにしています。
クルマを預かり、一生懸命創り上げ、引き渡す際に「かっこいいでしょ!」と得意気に言うと決まってお客さんに「どんだけ自分のセンスに自信があるの?」ってよく笑われます。そもそも「これ、かっこいいかなあ」なんて疑問に思って創るのは問題外だと思うんです。代金を頂く以上は自信満々に「かっこいいのを創りました!どうぞ!」と言えるのが当然です。「このセンスが判らないのならボクの感性とは合わないので他に頼んでください」って言えちゃうぐらい自信を持つ。横柄に聞こえますか?自分としてはお客さんのニーズをそれこそ必死に考えた結果ですし、ニーズが分かるくらいお客さんとの人間関係を積み重ね、信頼を得られた上でないとできないことであり、やってはいけないことだと思っています。お客さんの言葉通りに作業するなら単なる取り付けです。逆にこちらの作りたいように作るのは押し付けです。カスタムとはお客さんとショップが話し合って一緒に創り上げていくものだです。まず信頼関係があり、その上にお客さんはショップに「絶対にいいものを創ってくれる」という期待に対して、ショップはお客さんに「絶対に喜んでもらえる」という自信で返すべきです。それがショップという仕事であり、役割だと思っています。かっこいいことを言いましたが、一台を仕上げた時、お客さんと一緒に喜びたい。本音は一緒になって自慢したいだけ、なのかも知れないですけど、ね。
自分がやりたいようにやればいいんです。遊んじゃう感じが大切です。カスタムにはセオリーや正解はありませんし、こうしなきゃいけないってルールはありません。つまり無限の可能性と選択肢があるって事です。その中から単に「かっこいい」という理由だけで選んでもいいんだと思うんです。ノートにびっしり書き込んで相談しにくる方もいます。でももっと肩の力を抜いて楽しむ方法もあるのになって思います。もちろんしっかり考えることを否定しません。それがその人の楽しみ方なら全然ありです。でも「あ、これかっこいいから付けちゃおうかなあ〜★」ぐらいの程度のノリの方がカスタムを楽しめる気がします。確かにクルマはオーナーの分身です。乗っている人の感性を強く表現します。かっこよくなければいけないのではなく自分が「かっこいい!気持ちいい!」と思える形にするのがカスタムなんじゃないかなって思っています。だからクルマは「本気で遊ぶ」に限ります。
スタッフの誰がやっても同じクオリティになること。難しいけど突き詰めていきたいことです。それが「アクセスクオリティ」です。ですから作業内容について厳しい指導をします。厳しい指導をする以上は、自分がそのクオリティを達成できなければいけません。誰よりもできないといけないと思っているので感覚が鈍らないようにマネジメントだけでなくあらゆる作業現場に積極的に入っています。自分としてはピットに「できません!」と言われたとき上から「いいからやれ!」と命令するのではなく、実際にやってみせて「できただろ」と見せたいんです。そのためにも基本的にすべての作業に携わり、どの分野もできるような技術を常に持っていなければというのが「こだわり」です。偉そうに指示を出すスタイルは自分には合いません。常に現場に近いところにいて肌で感じて、その中でクオリティを統一し、高めていきたいと思っています。とは言え自分が出て行くときは緊急時です。基本的にピットを信頼して任せています。
未経験ならイチから教えます。心配は要りません。台数多いので一緒にいれば自然とできるようになります。実務経験があるのであればトラブルシューティングをたくさん経験した人ならそれが活かせると思います。どちらにしろ技術よりもまずは基本。「アクセススタイル」をまず理解する方が重要だと考えています。アクセスではピットクルーも接客します。だからそこは徹底的に教えます。ショップは全員が一方向を向いていないとダメなんです。作業のやり方は色々あっていいのです、得意分野は個々に任せます。ああしろこうしろは言いません。ただ「アクセスとして」という部分だけは譲れません。どんなに作業ができなくても「お客さんのために」というアクセススタイルだけは統一していきます。仕事ができるだけじゃあダメなんです。でも一番アクセスらしさを知っているのはお客さんなのかも知れません。アクセスのお客さんは相当目の肥えた人が多いですから。
本当にそれだけで十分です。まずはそれだけでいいです。なんだかんだ言ってやっぱり「人」だと思っています。作業ももちろん大事です。高いクオリティを目指しています。でもそれよりも当たり前の事が出来て、お客さんのためにと考えられる人。お客さんの言葉にないニーズをしっかり見つけられる人。そんな人が集まってアクセスを形づくっています。今までの5年間は、アクセスを色々な人たちに知ってもらおうと頑張ってきました。それがようやく実になってきていると実感できるようになってきました。お客さんの数やニーズ、ブログにしてもたくさんの人たちの注目を集められるようになってきました。メーカーさんでさえアクセスの名前を覚えてくれるようになりました。だから、これからアクセスは変わると思います。次のステージに向かって動き出しています。今までは世の中の情報を集め広く伝えてきました。これからは情報を生み出し発信できるように頑張って行こうと思っています。一緒にやりましょう。きっと楽しいと思います。